適応疾患について

角膜移植の適応となる疾患について

角膜移植が必要となる主な疾患には、以下のようなものがあります。

水疱性角膜症 角膜の内側には「内皮細胞」があり、角膜の水分を調整しています。この細胞の機能が低下し、角膜が水分を含んでしまった状態、つまりむくんだ状態を「水疱性角膜症」と言います。加齢や、白内障などの手術後に発症するものもあり、原因はさまざまです。過去に角膜移植を受けた方の内皮細胞が減少して、再移植が必要になった状態も、広い意味で「水疱性角膜症」に含まれます。
円錐角膜 思春期に好発する角膜変性疾患です。角膜中央部が薄くなり、前方に突出します。角膜の形がゆがむため、乱視を生じます。軽度~中程度では、ハードコンタクトレンズで矯正可能ですが、高度に進行しコンタクトレンズでは矯正視力が十分にでない、あるいはレンズを数時間しか付けられないような場合に角膜移植が適応となります。
角膜潰瘍/穿孔 細菌や真菌などにより、角膜に潰瘍が引き起こされると、角膜が薄くなったり、穴があいてしまったりして、視力低下や痛みを引きおこします。その前に点眼薬などで治療しますが、角膜が薄くなってしまった場合などは、移植の適応となります。
感染後の混濁 細菌や真菌、角膜ヘルペス、アカウントアメーバなど、何らかの原因で角膜炎を患い、その後、や混濁が残ったため、光を通さない状態にあるものです。角膜白斑と呼ばれる場合もあります。
ヘルペスウイルスの場合は、手術後、再発を防ぐ為に、抗ウイルス剤を投与する場合があります。
角膜変性症 遺伝などの素因で、角膜実質内に異常物質が沈着し、混濁したものをいいます。ジストロフィーとも言われ、いくつかの種類があります。角膜移植後に再発しやすいタイプもあります。
外傷/化学傷/熱傷 角膜裂傷や薬品やセメントなどが眼に入った場合、また目に熱傷を負った場合に、強い瘢痕を生じることがあります。化学傷や熱傷の場合は、角膜だけでなく、結膜や涙腺なども障害されていることが多く、輪部移植や羊膜移植など他の手術を、同時に行う場合もあります。
角膜輪部デルモイド 先天性の腫瘍のひとつで、角膜と白目の境などにできる場合が多いです。整容的な問題と部位や大きさによっては、視力の発達に障害をおこすこともあります。