センター長あいさつ

東京歯科大学市川総合病院 角膜センター センター長 山口 剛史

東京歯科大学市川総合病院眼科と角膜センターを2023年5月から担当させていただくことになりました。角膜センターが1993年4月に設立されて以来30年になりました。まず30年の間、ライオンズクラブ・個人支援者をはじめ多くの方々からご支援・ご助言をいただきましたこと、心から感謝申し上げます。過去30年の角膜移植件数は累計7000件を超え、多くの失明患者さんを治療し地域医療に貢献してまいりました。そして、2023年の東京歯科大学市川総合病院眼科・アイバンクは、より一層活気にあふれ、過去の実績を超えていくと感じています。

設立当初から、私たちは「患者さんのために」をモットーとし、「最高の角膜医療、研究、サービスを実践する」ことを理念にしてきました。日本では角膜提供が少なく、角膜移植を長期間、待機する患者さんが少なくありません。国内のアイバンク活動を行いながら、海外アイバンクとも連携していくことで、当角膜センターでは、質の高い角膜を待機する患者に一日も早く届けられるよう、活動を続けてまいります。

また、角膜移植は毎年、進歩しています。最近では、角膜上皮疾患に培養口腔粘膜移植、角膜内皮疾患ではデスメ膜角膜内皮移植や細胞注入療法などが登場し、これまで治せなかった病気が治る時代に入りつつあります。私たちは、最新の術式に対応できるよう日々研鑽を重ね、角膜で見えなくて不自由している患者さんに、より良い角膜移植をより安全に届けられるよう、システムを構築していきます。

最後に、我々に課せられた使命は、「角膜疾患で見えない患者さんを救うこと」です。今の最新の角膜医療で治せる患者さんは確実により良い視力が得られるよう、ベストの角膜医療を提供します。しかし、現在の角膜移植では今なお治せない難治性疾患が存在します。将来、難治性角膜疾患の患者さんを救える世の中になるよう、角膜センターでは再生医療や基礎的、臨床的研究を続けてまいります。

今後とも皆さまからのご指導・ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。