角膜移植について
角膜とは、眼球の一番前にある透明なドーム状の膜です。 役割は、大きく分けて3つあります。 (a)光を通す (b)光を屈折させる (c)壁として異物の侵入を防ぐ |
角膜移植手術は、上記の機能が損なわれ、点眼などでは治療出来ない場合、適応となります。具体的には、以下に当てはまる場合です。
(a)角膜が混濁したとき
(b)角膜が光を正しく屈折しないとき
(c)角膜に穴が開いたとき、または開きそうなとき
角膜移植は、機能を失った角膜を取り除き、新しい提供角膜を縫い付けます。現段階では、亡くなられた方から提供された貴重な角膜を使用しています。
献眼の意思のある方が亡くなられた際、ご遺族の承諾を得て、角膜センター・アイバンクに眼球が提供されます。アイバンクでは、提供された角膜が、移植手術に適しているかどうかを検査した後、公平・公正にあっせんします。緊急症例に対しては、他のアイバンクからあっせんしていただく場合もあります。親族優先提供による角膜移植についてはこちらをご覧の上、アイバンクにご相談下さい。
また、残念ながら、日本における角膜の提供数は不十分なため、当院では米国のアイバンクより海外ドナー角膜を入手する方法もとっています。
現在、日本全国で、54のアイバンクが活動しています。当院角膜センター・アイバンクもその一つです。これら54のアイバンクに、移植待機者として登録されている方は、2014年末で約2,000名です。一方で、54のアイバンクから手術に供給される角膜数は、1,400眼程度です。そして、緊急で移植を必要とし待機できない方、移植をあきらめてしまっている方も含めると、年間2万眼くらいの角膜が必要であると言われています。必要としている方に比べ、提供が大変少ない状況です。
視力回復、疼痛(とうつう)などの辛い症状の改善、整容上の改善などのメリットと、合併症のリスク、および術後ケアの手間などをはかりにかけ、ご家族ともご相談の上、角膜移植をお受けになるかどうかをお決めください。主治医はご質問にできる限りお答えいたしますが、手術の決定はご自身でお決めいただくことになります。
他の治療法として、点眼、内服などの保存的薬物治療、コンタクトレンズなどの処置も病状によって考えられる場合もあります。また、治療をお受けにならないという選択肢もあります。